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▼下記の [LAUNCH THE INTERACTIVE MAP] をクリックするとMarsh LLCが提供するInteractive Mapにジャンプします。また、本Interactive Mapにはポリティカルリスク2017の分析を担当したBMIリサーチへのリンクも含まれます。
マーシュのポリティカルリスクマップ2017年版を公表した2月時点では、欧州やその他の地域における選挙や米国のトランプ大統領政権下での外交・国内政策の策定、多くの国の内紛、英国のEU離脱に向けた過程をはじめとする数々の事象が向こう1年の地政学的状況の下地を作りつつありました。こうした事象の中には、大多数が予想した通りの展開となったものもあれば、異なる方向へと進み、新たな問題が浮き彫りになったものもありました。
たとえば、欧州を席巻するかに見えたナショナリズム/ポピュリズムの台頭は、大きな注目を集めたオーストリア、フランス、オランダの選挙では勢いを失いました。しかし、混乱の可能性は残っており、イタリアでは選挙を控えている状況です。同時に、他の地域におけるリスクも、より明白になっています。北朝鮮と米国の緊張関係は一気に高まり、一部のラテンアメリカ諸国における騒乱は相変わらず国際ニュースをにぎわせています。
多国籍企業が世界の政治・経済リスクに関する理解を深めるための一助として、マーシュは毎年、BMIリサーチによる独自分析を発表しています。BMIリサーチは、多国籍企業や政府、金融機関に、戦略、方策そして投資の重要な決定の参考となる偏りのない予測、データ、分析を提供する有力な情報機関です。マーシュは今年、BMIリサーチと提携し、マーシュのポリティカルリスクマップの基盤となるBMIリサーチのカントリーリスク指数(CRI)のスコアについて追加の情報を提供しています。
カントリースコアの現状は、各国の経済・政治・業務環境を評価するBMIリサーチのCRIに基づいて作成されており、マーシュポリティカルリスクマップ2017年版で見ることができます。同指数は、経済的・政治的安定に対する短期的・長期的リスクに加え、事業環境にとってのオペレーショナルリスクを考慮に入れ、世界各国の比較が可能になりました。BMIリサーチの手法に基づき、各国のCRIの最大値は100に設定され、数値が高いほど(100に近い)ポリティカルリスクは低くなります。
以下は、2月以降に短期ポリティカルリスク指数(short-term political risk index/ STPRI)に著しい変化があった国についてまとめたものです。STPRIは、全体的なCRIのうち、最近のポリティカルリスクの水準の変動を示す部分にあたります。STPRIは前回の指数公表以降、大きな変化のあった国において全体的なCRIの変動の最大の要因となった可能性が高いことから、マーシュではこの要素に注目しています。
北米
米国のSTPRIスコアは、86.7から85に引き下げられました。これは、国内政治に対する懸念と地政学的な紛争の拡大の可能性によるものです。さらに注目すべき点として、BMIリサーチの2017年の指数公表以降、北朝鮮の核兵器能力の脅威、米大統領選挙へのロシアによる干渉の疑いをめぐる米ロ関係の緊張、ロシアに対する新たな制裁措置、ロシアによる米外交官の削減などにより、米国とロシア・北朝鮮両国との関係は悪化しています。
欧州
フランスのSTPRIは、5月の大統領選挙でエマニュエル・マクロン氏が極右候補のマリーヌ・ルペン氏に勝利したことを受けて、前回の公表以降、76.0から80.2に改善しました。ポルトガルのSTPRIは、早期選挙の可能性が薄れたことと同国の経済についてEUが過去最悪の不況からの回復継続を確認したことにより、70.0から74.4に改善しました。
ポーランドでは、法的な相違により欧州委員会との緊張関係が続いているために安定性が低下しています。これを受けて、STPRIは76.5から70.8に低下しました。一方、英国では、6月の解散総選挙で少数与党の政権運営となったことからEU離脱をめぐる不確実性が深まり、STPRIは78.3から77.1に低下しました。

アフリカ
前回の公表以降、この地域には顕著な改善が見られました。しかし、アフリカには依然、世界の中でもとりわけ不安定な国がいくつか含まれます。BMIリサーチは、スーダンのSTPRIスコアを35.8から38.8に引き上げました。これは、同国におけるイスラム過激派との戦いの激化を受けて米国が同国に対する貿易・金融制裁を緩和したことによります。STPRIが著しく改善したその他の国々として、モザンビーク(38.5から47.5)とアンゴラ(59.4から67.5)が挙げられる。モザンビークは、与党フレリモと反政府勢力の野党レナモとの停戦を受けてスコアが改善しました。一方アンゴラのスコアは、2017年8月にエドゥアルド・ドス・サントス前大統領から、その後継に選ばれたジョアン・ロウレンソ国防相への政権移行が円滑に進んだことを受けて引き上げられました。
しかし、政情不安の残る国ではSTPRIスコアに負の影響が及んでおり、ガンビアは62.5から55.4、ナイジェリアは56.0から49.8、コンゴ民主共和国は32.7から26.0、エリトリアは67.3から57.1に、それぞれスコアが引き下げられました。それに加えて、元反政府軍兵士による反乱を受けて、コートジボワールのSTPRIスコアは62.7から57.7に低下しました。

ラテンアメリカ
この地域では数カ国が騒乱と厳しい経済状況に見舞われており、ポリティカルリスク、経済リスク、カントリーリスク指数(CRI)のスコアに悪影響を与えました。ベネズエラではSTPRIが35.0から30.6に低下し、スリナムでは52.9から47.3に低下しました。チリでは政治的膠着と失業率の上昇により、STPRIスコアが75.8から70.6に下がりました。
一方、ブラジルでは、ミシェル・テメル大統領をめぐる汚職疑惑が取り沙汰される中でSTPRIが59.2から57.5に引き下げられました。なお、8月2日の下院の採決で野党は、汚職疑惑を最高裁判所で追及するために必要な3分の2の賛成を得ることができませんでした。

中東
カタールは6月初旬以降、サウジアラビア主導の政治・経済封鎖に晒されてます。同国とサウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、エジプトとの間の外交危機が和らぐ気配はほとんどなく、この地域における大きなポリティカルリスクとなっています。
イスラム国(IS)は、イラクにおけるその事実上の首都モスルから掃討され、BMIリサーチはISが今年後半イラクで敗北すると予想しています。イラクのハイダル・アル・アバディ首相は、いわゆる「カリフ制国家」の半分が崩壊したと宣言したものの、懸念材料は残ります。
アジア
北朝鮮、その周辺国、米国との緊張関係は、この地域で最も差し迫ったリスクだと言えます。しかし、南シナ海の領海をめぐる中国と東南アジア数カ国との紛争も長期化しています。フィリピンでは、ISの脅威によってSTPRIスコアが64.6から63.1に低下しました。
パキスタンは、汚職疑惑をめぐるナワズ・シャリフ前首相の罷免を受け、政治的混乱の最中にあります。ロシアに対する米国の新たな制裁は引き続き、この地域におけるポリティカルリスクに影響しています。
この地域でSTPRIが顕著に改善したのはウズベキスタンで、50.8から56.0に上昇しました。これは、2016年末にイスラム・カリモフ前大統領が死去した後、シャフカト・ミルジヨエフ新大統領への政権交代が円滑に進んだことに起因します。
太平洋
太平洋地域は、比較的安定しています。ニュージーランドでは9月23日に総選挙が行われましたが、いずれの政党も過半数の議席を獲得できませんでした。この結果を見込んでいたBMIリサーチは、同国のSTPRIを84.0から82.7に引き下げました。
ポリティカルリスクマップ 2017年版について
マーシュのポリティカルリスクマップ2017年版は、今日の多国籍企業と投資家が直面する課題のグローバルな概観を示します。同マップは、政治/マクロ経済/金融/業界リスク分析における有力な独立系情報機関であるBMIリサーチのデータと知見に基づき作成されています。
このインタラクティブ(対語型の)マップは、各国をその政治的・経済的安定に基づいて評価しており、リスクが出現する可能性の高いところや企業が事業を展開している国において注意すべき主要な問題について深く知ることができます。BMIリサーチは、100を満点として各国の短期・長期のポリティカルリスクと経済リスクのスコアを算出しており、スコアが高いほど安定性が高いことを示します。また、労働市場、貿易・投資、ロジスティクス、犯罪・セキュリティ(テロを含む)に関する評価基準を取り入れた「オペレーショナル」リスクも分析し、全てのリスク要因を考慮に入れて全体的なカントリーリスクスコアを算出しています。
本マップに記載している評価は、世界情勢に関するBMIリサーチの独自のリサーチと知識に基づいて作成された。BMIリサーチについて詳しくは、公式ホームページ(https://www.bmiresearch.com/)をご覧ください。