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ポリティカルリスク保険の展望:依然として買い手市場
欧米における反既得権益と国家主義的な動向から、世界的大国間あるいは地域大国間の紛争まで、2017年はポリティカルリスクの高まりが確実でしょう。グローバル企業にとって地政学的な不安定さは、どの地域に人材を配置し、経営資源を投入するかといった決定への影響をはじめ、重大な影響をもたらしかねません。しかし、リスクが増大しているものの、ポリティカルリスク保険は概ねソフトマーケットで、引き続き調達しやすい状態にあります。
地政学リスクをめぐる懸念
2016年、英国は国民投票で欧州連合(EU)離脱を決定し、米国ではドナルド・トランプ氏が大統領選に勝利しました。これらの出来事は、欧米諸国にとってダブルショックとなり、幅広い大衆主義運動の台頭の一部になっています。多くの国で、人々は政治的変革を求めています。既存の政府や機関に対する欲求不満と怒りは、反既得権益感情や国家主義的感情を煽っています。この傾向は2017年も強まる可能性が高く、グローバル企業に大きな社会的・経済的影響を与えるでしょう。
同時に、向こう1年は世界各地で、国家間の対立と緊張も高まるでしょう。トランプ政権は、外交政策に関してオバマ政権よりも強硬な姿勢を取ることが予想されます。一方、中国はここ数年、特に南シナ海と東シナ海において挑戦的な姿勢を強めており、日本や韓国との緊張が高まっています。そしてロシアは、シリアに介入する一方で周辺諸国に対してより強引な姿勢を取っており、多くの世界的大国や地域大国との間に緊張関係を生み出しています。
グローバル企業はまた、中国、フランス、ドイツ、香港、イラン、韓国で今年予定されている重要な選挙後の後継リスクも警戒する必要があります。
保険カバーは調達しやすい状態
世界的に地政学リスクが高まっているにもかかわらず、ポリティカルリスク保険市場は依然として買い手にとって大変有利です。現在、世界中で約60の保険会社がポリティカルリスク保険を販売しており、激しい競争を生み出すとともに買い手に多くの選択肢をもたらしています。
一方、保険カバーを入手しにくい国もあります。たとえば、保険会社はトルコに関するリスクの引き受けを懸念しており、同国での大規模な新しいキャパシティ(引受能力)の提供には全般的に消極的です。また、米国とEUの経済制裁を受けているロシアについても、新しいキャパシティは限られています。さらに、アフガニスタン、リビア、シリア、ソマリア、ウクライナ、ベネズエラでは、保険カバーを入手することはほぼ不可能です。
しかし、これらの国は、むしろ例外です。しかも、これらの国でも一部については、複数国にわたる保険プログラムを設計することにより保険カバーを入手することが可能です。これは、企業が事業展開する複数の特定の国を一つの保険契約にまとめて補償を提供するもので、一般に競争力のある保険料で、より幅広い定義や多年補償を含む有利な条件で保険手配が可能です。
ポリティカルリスクの水準は引き続き高いものの、グローバル企業は世界各地の自社資産を守るために効果的な保険プログラムを構築することが可能です。自社の抱えるポリティカルリスクを把握し、それらのリスクに対処する保険プログラムを構築するには、保険アドバイザーにご相談ください。
詳しい情報は、マーシュのインタラクティブ型の「ポリティカルリスクマップ2017年版」でご覧いただけます。
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